開発学を学ぶならどっち?
~イギリス or オーストラリア~
“開発学=イギリス”というイメージを持っていませんか?
「開発学を学ぶならイギリスですよね?」と質問されることがよくあります。
実はオーストラリアでも開発学は盛んに研究されており、「QS世界大学ランキング」2023年版の開発学部門では以下の結果を残しています。
- オーストラリア国立大学 第14位
- メルボルン大学 第15位
- シドニー大学 第34位
以前、開発学で有名なオーストラリアの大学の教授がおっしゃっていたのですが、一般的にイギリスではヨーロッパやアフリカを、オーストラリアでは東南アジアや中東をメインに取り扱うことが多いそうです。また、アジア圏の政府機関などから留学している学生も多く、ネットワークを築けるメリットもあるとのことでした。
留学後に日本に帰国する場合、アジアの開発問題に取り組むことになるかもしれません。その場合、オーストラリアで研究をしていることが、強みになる可能性もあります。
オーストラリアの新たな魅力、感じていただけましたでしょうか。
では実際、オーストラリアとイギリスの修士コースを比較した場合、どのような違いがあるのでしょうか。
イギリスとオーストラリアの修士課程はどう違う?
1. コース期間
一般的にイギリスの修士コースは1年ですが、オーストラリアは2年の履修が必要です。ただ、これよりも短いコースを設けている大学もありますし、学部時代の専攻によってはコース期間を短縮できる場合もあります。
「オーストラリアの修士課程=2年」とは限らないため、コース期間/入学条件は必ず確認するようにしましょう。また、オーストラリアは入学時期を複数回設けている大学が多いため、何月入学を希望するのかも考えておきましょう。
2. 出願要件
イギリスの大学院では、関連学位の修了や関連単位の履修が入学条件として記載されていることが多いです。この場合、大学卒業後に初めて開発学を学んでみたいと思っても条件を満たせず、諦めなければいけないこともあります。
対して、オーストラリアの修士課程(2年)コースは、異なる分野出身の方を受け入れてくれる確率が高いです。他国の条件を見て諦めていた方は、オーストラリアを検討することをおすすめします。
3. 出願書類
イギリスと比較した時、オーストラリアの出願書類は少ない傾向にあります。推薦状はもちろん、志望動機書の提出を求めない大学もあります。出願準備にそこまで時間を取られないため、急いでいる方はもちろん、仕事などで日々忙しくしている方には魅力的な選択肢です。
ただし、書類が少ない分、成績の要件が重要になるため、出願条件を満たせているか必ず確認をしてください。
また、オーストラリアは日本との時差が少ないため、ご家族やご友人と連絡が取りやすいというメリットも。初めての留学先としては心強い環境です。
この記事では、開発学の分野での評価はもちろん、大学自体もレベルが高い名門校を4つをご紹介します。ご自身の目標や出願条件と照らし合わせ、大学選びの参考にしてください。
開発学の分野で世界的に有名な大学4選
1. シドニー大学/ University of Sydney(オーストラリア)
オーストラリア初の大学として1850年に設立され、2024年度のQS世界大学ランキングではトップ20位内にランクインしています。インターンシップ制度なども充実しており、卒業生の就職率ランキングでは5年連続オーストラリア国内1位に輝いています。
シドニー大学ではMaster of Social Justiceという修士コースを開講しており、そこから更に開発学、人権、平和と紛争の専門分野を選ぶことが可能です。同コースは1.5年間のコースで、合計単位の1/3は必須科目、それ以外は選択科目です。
必須科目では貧困や人権システムなどについて学びます。選択科目では、例えば、東南アジアの安全と戦略、メディアとの関係などを履修することが可能です。
コース期間中は、幅広い分野の専門家と議論する機会があり、研究主導の環境でワークショップやセミナーなどの恩恵を受けることも可能です。
2. メルボルン大学/ The University of Melbourne(オーストラリア)
1853年に設立され、緑に囲まれたビクトリアン様式の校舎が特徴的なオーストラリアの名門校です。2023年度のQS世界大学ランキングでは14位(オーストラリア国内1位)に輝き、教育・研究の両方面で世界的に高く評価されています。
メルボルン大学のMaster of Development Studiesコースは2年間ですが、関連学位を良い成績で修了している場合、コース期間を1~1.5年へ短縮可能です。
こちらのコースは幅広い分野を学ぶことが可能で、例えばマイクロファイナンスやジェンダー問題、災害や人道支援などについて知識を習得できます。選択科目には中国にまつわるトピックも多く、アジアへの理解を深めるうえで魅力的なコースが揃っています。
同コースでは、提携校への交換留学やインターンシップをする機会もあります。インターンシップを選んだ場合、学生は所属する組織の希望を出せるようになっており、修士コースで学んだ理論を実践に移すことができます。過去にはオーストラリア国内外の政府/非政府団体、民間企業などに所属している学生が多いです。
キャンパスがあるメルボルンは世界で最も住みやすい都市に選ばれたことがあり、充実した都市生活を送れます。
3. SOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院 / University of London, School of Oriental and African Studies(イギリス)
ロンドン大学を構成するカレッジのひとつで、アジア・アフリカ・中東研究に特化した教育機関です。数々の大学ランキングで世界トップクラスに位置し、開発学では2023年度QS世界大学ランキングにおいて世界2位に選ばれました。
SOASでは教授陣の指導分野が細分化されており、それぞれのスペシャリストが揃っています。MSc Development Studiesコースでは政治経済学や食料政策、移民・労働問題など多岐に渡る問題を取り扱います。
また、同コースはイタリア・ボローニャにキャンパスを置くジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)と提携。2年間のデュアルマスタープログラムを修了すると、SOASとSAIS両方の修士号を取得できます。
SOASの図書館は世界で最も重要な学術図書館のひとつであり、世界中の学者が文献を活用しています。アジア・アフリカ・中東などに絡めた研究をしたい方には、最適の学習環境が整っています。
以前SOASのスタッフにお話を伺った際、「SOASの学生は研究したい分野が明確なので、志の高い学生がたくさんいる」っとおっしゃっていました。地域研究を極めたい方はぜひ、SOASをご検討ください。
4. バーミンガム大学/ University of Birmingham(イギリス)
1900年に設立され、国際色豊かな工業都市のバーミンガムにキャンパスを置きます。設立からたった6年後の1906年には、早くも日本人留学生が同大学を卒業するなど日本との縁が深く、学士課程には日本語を学べるコースもあります。学生数は約30,000人と、イギリス最大級の規模を誇ります。
バーミンガム大学には50年以上にわたり開発学を研究しているInternational Development Department(IDD)という学部があります。IDDでは様々なコースを提供していますが、なかでもMSc International Developmentコースはユニークで、必須科目を一つしか設けていません。そのため、学生は幅広い選択科目の中から自由にコースを選択・受講することができ、自身の興味や卒業後のキャリアプランに合った知識とスキルを習得できます。
IDDではアフリカ開発に特化したコース(MA Africa and Development)も提供しています。もしも研究したい地域がアフリカの場合、こちらのコースをぜひご検討ください。
また、IDDのコースは、フィールドワークなど課外活動もカリキュラムに組み込まれているのが特徴。アカデミックな知識に加えて、実践的な応用力も身に着けられます。
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